侍ナース!!

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抗菌薬が知りたきゃコレを読め!!

「わかりやすい 抗生剤」
抗生物質 かんたん」
「よくわかる 抗生物質
「抗生剤 おもしろい」



今まで、何度となくこんな単語でググってきました。
しかし、心に引っかかるページはどこもありませんでした。



みんな妙に、ムズイ!!

セフェム系、カルバペネム系・・・
第1世代、第2世代・・・


うんざりだよぉ!
という感じ。



そもそも、俺は感染に興味深々です。
いまやICTメンバーです。



それに看護師たるもの、看護技術の面でも、物品に関しても、この医療の世界では感染とは切っても切れない関係なのです。


感染に興味のない医療者は失格です。


と、言いたいくらい大事なことです。


では、感染といえば抗菌薬は必ず出てくるモノですが、
これが看護師から絶対的に人気があり、それでいて人気がない。



どういうことか?



例えば自分が熱発してる。
「じゃぁ、抗生剤飲もうぜ!」と考える。

患者のCRPが高値とする。
「じゃぁ、抗生剤行こうぜ!」とやっぱりなる。


そう意味では人気者。と言うより、頼りにされている。


じゃぁ、人気がないとはどういうことか。


薬理の世界は基本的にカタカナが多く、難しい世界。
理系の脳がなければ、アレルギー体質にすぐなっちゃう。


俺自身もバリバリの文系でして、嫌いなんてもんじゃありません。


しかし、お仕事ですので、

「この薬はなんの薬なのか。何に効くのか」

と、看護師はみな熱心に「今日の治療薬」片手にペラペラと紐解き、頭の中で関連図を組み立てていきます。


理系だろうが文系だろうが、理解しなきゃなんないんです。


しかし、抗菌剤になれば、少し違ってきている気がします。



受け持った患者がたとえば降圧剤を内服していれば、何がなにに作用して効くのか熱心に覚えようとする。
ベータ遮断薬がどうしたとか、カルシウム拮抗薬がどうしたとか。


昇圧剤を静脈から持続投与していれば、アルファ作用がどうしたとか、ベータ作用がどうしたとか、考える。


けど、抗菌薬だけはなんか別扱いを受けている。
CRPが高値なんで抗生剤いってま〜す」
で、ハイおしまい。


それに「今日の治療薬」での抗菌薬の部分がわけわからん!
これは、でかい。




なんの菌をやっつけるためにその抗菌薬を選んでいるのか。
なぜ、数あるうちの抗菌薬からそれがチョイスされているのか。




とりあえずそこんとこは看護師はみな横に置いといて、
「抗生剤いってる、ってことは、菌をやっつけてるってことでしょ?」
で、万事OKな感じがまかり通っている(気がする)。



抗菌薬=医師が決めるもの=だからあまり関係ない
てか、難しいし、分からない。
自分には無理。
認定看護師とか、ICTがわかってりゃいいじゃん。
・・・まぁ、大事なのは・・・わかってるんですけどねぇ・・・



みたいな感じじゃないのかな。



俺の職場や今までの経験上、そんな考えが多いです。



それにプリセプター制度とかやってても、
抗菌薬に関して
「なんで、この抗菌薬チョイスしてるかわかる?」
とか言える先輩がいないんじゃないのかな、とも思う。




要するに、看護師の苦手意識が先行していて、
「抗生剤いってるからいいんじゃないの」的発想があるので、深く考えようとしない。
医師に任せっきりな分野になっている。




で、それにもし耐性が出来ているとしても気づく看護師もいない。
だから、いわゆる抗菌薬に耐性をもった菌が蔓延するんじゃないかとも思う。




世の中の耐性菌は医師の抗生剤の乱用だけが問題じゃない。
俺たち、看護師も立派な共犯者だ。







ちょっと、視点を変えて。



「先生!この患者にこの降圧薬はおかしいですよ!」
とは、なかなか言えないかもしれないが、
「先生!この患者にこの抗菌薬はおかしいですよ!」
と、抗菌薬に関しては案外言えたりする。


それはなぜか。


それは検査で答えが出てくるから。


あえて、詳しいことは割愛するが、
要は「どの抗菌薬って効きますかね?」
という検査(調査)をすることで

「いいね〜効いてるよ!」
「これは効かへんで。」

と結果がズラ〜っと抗菌薬の種類に応じて出てくる。
じゃ、「コレやめて、コレに変えよか」などと判断ができる。


ナイスですね〜!(村西とおる風に)


他の薬を検査しても、そんな結果は出てこない。
降圧薬を検査依頼しても、この薬は効いてないよと結果は出てこない。
しばらく内服してどうなるか診てなきゃ、分からない。
効かなきゃ他の薬に変えるけど、それも飲み続けなきゃ結果はわからない。



けど、抗菌薬は時々調べることで、ちゃんと数値的に提示される。
そう思えば、患者にふさわしい薬を考えた際に、「今日の治療薬」なんかで紐解くよりも、抗菌薬のほうがわかりやすいくらいである。


コレって、やっぱり便利じゃない?


しかし、やっぱりこんなナイスな検査をしていても看護師は抗菌薬には拒絶反応が出てしまう。


それはなぜか。


検査結果の抗菌薬の名前が略されていて、しかも英語だから。


これが、さらに苦手意識をグイグイ高めてしまう。



ま、要するに看護師はどうしたって抗菌薬に対して苦手意識が強いことがあります。





そして、それを解消してくれる本もなかった。


少なくとも、今までずいぶん感染関係の本を読みあさった結果、出会わなかった。


看護師関係ではどうしても「感染対策は感染経路遮断が看護師の仕事だから、看護技術を学ぼうぜ!」的な本が圧倒的に多いし、


薬理関係で見ても、抗菌薬意外は面白おかしく書いている本がたくさんあるなかで、肝心の抗菌薬に関しての「看護師向け」は皆無だ。




じゃぁ、医者向けはどうか。

これは充実している。



↓この手の世界では権威とされている方や、

レジデントのための感染症診療マニュアル 第2版

レジデントのための感染症診療マニュアル 第2版

Dos&Don'ts ! Dr.青木の感染症大原則ケアネットDVD

Dos&Don'ts ! Dr.青木の感染症大原則ケアネットDVD






↓この方なんかは、とても積極的に取り組まれて出版されているし、文章力も長けていて尊敬できる医師であり作家でもある。

抗菌薬の考え方、使い方〈ver.2〉

抗菌薬の考え方、使い方〈ver.2〉




しかし、やっぱり所詮は医師向けの本であって、看護師は手に取りにくいし、やっぱり難しい。



そこまで知りたくないよ、が満載な世界だ。



↓唯一、これは面白おかしく書いてはいるが、どうも看護師向けとも違う。

マンガで学ぶ感染症

マンガで学ぶ感染症





で、とうとう出ました。
看護師向けでいて、かゆいところに手が届く本が!



待ってました!

前置きが長くなったけど、これ↓だ!



ナースのための抗菌薬はじめの一歩

ナースのための抗菌薬はじめの一歩





何がいいって、看護技術的な事は皆無なことがいい。

そんな本は、今や吐いて捨てるほどあるから。



すなわち、抗菌薬のことしか書いてないことが重要なのだ。
そんな本、ないもんね。


というか、ホントは看護技術的なことは書けなかったのが本音かもしれない。


監修が三鴨氏で愛知医科大学大学院医学研究科感染制御学の教授(長っ!)で、

執筆者が坂野氏、滝氏、青田真理子氏、島田氏とみんな薬剤師さん。


要は、薬剤師さんの視点でツボを押さえた抗菌薬の話が凝縮されているのだ。


だから、看護技術なんて出てこない。



そして、
「なお、現在では抗生物質というよりも抗菌薬と呼ぶのが科学的には正確であるので、本書の表記もすべて抗菌薬に統一しています(p8)」
と、

「そこは薬剤師。譲れませんから!!」
という、妙な熱さが、またなんかいい!


内容は「新人看護師(まりまり)中堅看護師(泉先輩)が素朴なギモンを二鴨先生にぶつけてく」という基本ストーリーを元に繰り広げられていく。
(執筆者をもじってるところも安易で好き)


読み進めれば「コレって看護師してりゃ疑問に思うべ」的内容のオンパレードで、関心しきりです。



第1章 有効な抗菌薬の使用法

1 投与量が多すぎる?
2 効きめが変わる使い方.
3 まとめてのんで大丈夫?
4 1日4回も点滴するの?!
5 4時間も点滴する理由
6 30分点滴にこだわる理由
7 術後抗菌薬はいつまで投与するの?
8 採血のタイミング

第2章 臨床で使われる抗菌薬の分類

1 ペニシリン系抗菌薬
2 セフェム系抗菌薬
3 カルバペネム系抗菌薬
4 アミノグリコシド系抗菌薬
5 キノロン系抗菌薬
6 マクロライド系抗菌薬
7 テトラサイクリ ン系抗菌薬
8 グリコペプチド系抗菌薬
9 オキサゾリジノン系抗菌薬



とまぁ、内容ぎっしりに思えるが、
なんのなんの。


約90ページしかなくて、ほぼ内容は会話文で進められているので超読みやすい。
で、コレ以上ないってくらい簡素にまとめている。



俺的に100点です。


しかし、この本は本来「細菌」についても知っていて初めて100点になる本だと思います。


グラム陽性菌グラム陰性菌などがわからなければ、感動は半減するかもしれない。


だから、ほんの少しでも、細菌について知っていれば、なおよろしなのです。


欲を言えば、抗菌薬に関しての内容は完璧なんで、
検査のこと(グラム染色法や培養)も入れててくれればもっと最高だったのに、とは思いますが、ま、薬剤師さんが執筆ですので、ね。



とりあえず、現段階で看護師向けのこれ以上の抗菌薬本はないし、買ってて損は絶対ないです。



もうホントに題名に偽り無しで
「ナースのための」
「抗菌薬はじめの一歩」
です。



もっと言うなれば、看護師はこれだけあれば抗菌薬に関しての本は不要です。

それくらい良書でしょう。





約90ページで1900円!
お買い得!


ありがとう!南山堂!!
ありがとう!三鴨氏を初めとする薬剤師のみなさん!!

俺はかしこくなれたよ!!!




↓順位があがるとそれなりにおもしろいもんですね。

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↓この本を図書館で読んでから俺は抗菌薬に興味をもった

抗生物質のはなし

抗生物質のはなし